自由が欲しい


「はぁ、はぁ、はぁ」

惑星ウォパル、その地下の海底エリア。
幻想的な景色と大量の水が支配するそのエリアに、何処へとあてもなく走る人影が1つ。

「やはり、計画が甘すぎたんだ・・・・・・。私にはッ・・・・・・」

海底を駆けるその足は裸足。服も纏わず代わりと言わんばかりに薄い布に身を包むその人の背後には、惑星ウォパルで多く確認される、鳥型のダーカーが数匹。
その人がそのダーカー達に追われているのは、誰の目にも明白であった。
だが、その人は走る。何処へ逃げれば安全、という場所が分かっている訳ではない。追っ手をまけるとも思っていない。

でも、逃げる。

欲しいのは自由。それだけ。その為にあの場所を抜け出し、今こうして逃げているのだから。
だが、追っ手に見つかってしまった以上、ただ逃げているのは最早無意味。それは本人も分かっていた。

「今のままじゃ逃げ切るのは無理。分の悪い賭けだけど、ここは・・・・・・!」

逃亡の最中、人は1つの判断を下す。それは本人の中で、ほぼ無意味に等しい選択。
しかし、このまま逃げ回っていても埒が明かないのならば、僅かな希望にもかけるしかなかった。

人は意を決し、周囲のフォトンを右手に込める。
聞いた事があるだけ。試した事も、ましてや正しいやり方すら聞いた事のない手段。

テクニック。

聞いた話では、今からやろうと思っている事を人はそう呼ぶらしい。
だが今は名称など関係ない。周囲に舞うフォトンを必死に右手にかき集め、そしてそれを適当なイメージと共に放つ。
ただそれだけ、簡単な作業のはず。
そして右手に収束されたフォトンは、見た目充分な雰囲気を放つくらいには溜め込まれた。

「テクニック、発動!」

意を決して行われる、テクニックの発動。
放たれたテクニックは眩く白い光を放ちダーカーの元へと飛び立つ。
その人が思い描いたテクニックのイメージは、ダーカー全般が弱点とする"光"。
放ったテクニックが描く軌道も迷いなくダーカーへと一直線。
イメージも、テクニックに込めた想いも、そして溜め込んだフォトンの量も、充分な筈だった。

ガギィン!―――

「なっ・・・・・・!」

しかし、現実は非情である。
何もかも完璧だった筈のテクニックは、確かにダーカーに命中した。
しかし、何が足りなかったのかそのテクニックは、鈍い音こそしたがダーカーには傷1つ付ける事が出来ていなかった。

寧ろ、ダーカー達は今の一撃で激昂したのか目を赤く光らせる。
そしてダーカーは、その手の槍状の武器を構える。赤黒いオーラを纏う槍。それは明らかに攻撃の意思を示していた。

「まずい・・・・・・!」

思ったのは瞬間だった。誰にでも分かる、危機の瞬間。だが、その一瞬ですら判断が遅かった。
次の瞬間槍から放たれる、衝撃波のような一撃。
その一撃は先ほどのテクニックとは違い、逃げ回る標的を確実に捉え、その華奢な体に重い一撃を与えた。

「ぐあぁぁぁ!!」

ダーカーの攻撃によって大きく吹き飛ばされた身体は壁にぶつかる事でようやく勢いを殺し、止まる事が出来る。

「ごほっ、ごほっ・・・・・・!」

壁に打ち付けられた衝撃でむせ返る。頭はグラグラと揺れるような感覚に襲われ、視界もはっきりしない。
せめて身体を起こそうにも、身体の何処にも力が入らない。
ただ、感覚で分かる事が2つだけ、あった。

先ず、たった今自分に一撃入れたダーカーが、一歩一歩、確実に自分に近づき、自分を追い詰めていると言う事。
そしてもう1つ。
自分は直にそのダーカーの餌食になってしまうであろう事。


自由が欲しい―――


思うだけなら、簡単だった。
けど、叶えるのはとても難しい。

自由無き場所に生まれ落ち、自由無き日々を送った。
自由が欲しかったから、あてもなく、それでも逃げ出してきたのに・・・・・・。

人は、静かに瞳を閉じた。
もうじき自由になれる。望んだ自由とはかけ離れた形ではあるが、自由である事に変わりはない。

どうか、次に生を授かる時は、自由な身でありますように・・・・・・。

人の意識は、そこで途切れた。
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